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「インフラ投資や事業投資の仕事へ転職するには、どのような経験が必要なのか」
「銀行の融資経験やプロジェクトファイナンス経験は、投資業務で評価されるのか」
「商社、インフラ事業会社、投資ファンドでは、仕事内容やキャリアパスがどう違うのか」
インフラ投資・事業投資は、企業やプロジェクトへ資金を投じ、事業の成長と投資収益の実現を目指す仕事です。
投資対象には、次のような分野があります。
- 再生可能エネルギー
- 電力・ガス
- 交通
- 空港
- 港湾
- 道路
- 鉄道
- 通信
- データセンター
- 水処理
- 廃棄物処理
- 物流施設
- 社会インフラ
- 海外インフラ事業
金融機関での法人融資、審査、プロジェクトファイナンス、M&A、海外業務などの経験を持つ人は、インフラ投資や事業投資へ転職できる可能性があります。
ただし、融資と投資では、目的とリスクの取り方が異なります。
融資では、元本と利息を確実に回収できるかを重視します。
投資では、事業リスクを負いながら、配当、企業価値の向上、持分売却などによって投資収益を得ることを目指します。
そのため、融資経験をそのまま説明するだけでは不十分です。
投資先の事業を成長させる視点、株主として意思決定する視点、投資後も事業を管理する視点まで示す必要があります。
筆者は金融機関で法人取引、海外業務、プロジェクトファイナンスなどを経験し、その後、事業会社側で海外インフラや再生可能エネルギーに関わる業務を経験してきました。
金融機関側では、返済可能性、契約上の保護、下振れリスクを中心に確認します。
事業会社側では、案件を成立させる方法、投資収益を高める方法、関係者を動かして事業を前へ進める方法を考えます。
同じ事業を分析していても、貸し手と投資家では見るべき論点が異なります。
本記事では、インフラ投資・事業投資の主な転職先、仕事内容、求められる経験、金融機関出身者の強み、職務経歴書と面接での伝え方、転職後のキャリアパスを解説します。
プロジェクトファイナンス経験者の主な転職先は、プロジェクトファイナンス経験者の転職先|金融・商社・インフラを比較でも解説しています。
結論|インフラ投資・事業投資では「分析できる人」より「投資を実行し、事業を管理できる人」が評価される
インフラ投資・事業投資への転職で評価されるのは、財務分析ができる人だけではありません。
企業が求めているのは、次の業務を一連で担当できる人材です。
- 投資案件を発掘する
- 市場と事業性を分析する
- 財務モデルを検証する
- リスクを整理する
- デューデリジェンスを進める
- 契約条件を交渉する
- 社内の投資承認を得る
- 資金調達を実行する
- 投資後の事業を管理する
- 必要に応じて改善や売却を進める
金融機関出身者には、次の強みがあります。
- 財務諸表を分析できる
- キャッシュフローを評価できる
- 融資・資金調達の仕組みを理解している
- リスクを構造的に整理できる
- 契約条件を確認できる
- 社内審査を通すための資料を作れる
- 経営者や事業責任者と交渉できる
- 複数の関係者を調整できる
一方、転職後には次の視点を追加する必要があります。
- 投資収益をどのように高めるか
- 事業の売上と利益をどう成長させるか
- どのリスクを投資家として受け入れるか
- 投資先の経営へどこまで関与するか
- 投資後にどのような改善を実行するか
- いつ、どのような方法で投資回収するか
転職準備では、次の順番で整理してください。
- インフラ投資と事業投資の違いを理解する
- 投資対象となる業界を決める
- 案件発掘・分析・実行・管理のどこを担当したいか決める
- 自分の経験を投資業務へ変換する
- 不足する会計・契約・事業知識を補う
- 担当案件と自分の役割を整理する
- 投資家としての視点を職務経歴書と面接で示す
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インフラ投資と事業投資の違い
インフラ投資とは
インフラ投資は、社会や経済を支える設備・事業へ投資する仕事です。
主な投資対象
- 発電所
- 送電設備
- ガス関連設備
- 空港
- 港湾
- 道路
- 鉄道
- 通信塔
- 光ファイバー
- データセンター
- 水処理施設
- 廃棄物処理施設
- 物流施設
- 病院・学校などの社会インフラ
インフラ事業には、次の特徴があります。
- 初期投資額が大きい
- 投資期間が長い
- 許認可や政策の影響を受ける
- 契約に基づく長期収入が多い
- 建設・運営リスクがある
- 多数の関係者が関わる
- 資金調達額が大きい
- 投資後の管理が重要
安定収益が期待できる案件がある一方、開発、建設、制度変更、需要、運営などのリスクを負う場合があります。
事業投資とは
事業投資は、企業や事業へ出資し、事業の成長と企業価値の向上を目指す仕事です。
主な投資対象
- 新規事業
- 成長企業
- 子会社
- 共同事業
- 海外事業
- 事業承継案件
- M&A案件
- 特定分野のプラットフォーム企業
事業投資では、投資対象企業の財務だけでなく、次の内容も評価します。
- 市場規模
- 競争環境
- 顧客
- 商品・サービス
- 経営陣
- 組織
- 営業力
- 技術
- 成長戦略
- 投資後の改善余地
インフラ投資と事業投資に共通する業務
両者には、次の共通業務があります。
- 案件発掘
- 市場調査
- 事業性評価
- 財務分析
- 財務モデル
- デューデリジェンス
- 投資条件の交渉
- 社内投資審査
- 契約締結
- 資金調達
- 投資後管理
- 売却・投資回収
主な違い
インフラ投資では、個別プロジェクトの契約、建設、運営、許認可などの分析が重要です。
事業投資では、企業全体の成長性、経営体制、競争力、事業ポートフォリオなどの分析が重要になります。
ただし、実務では明確に分かれない場合があります。
再生可能エネルギー企業へ出資する場合は、企業への事業投資と、個別発電所へのインフラ投資の両方の視点が必要です。
インフラ投資・事業投資の主な転職先
1.総合商社
総合商社は、国内外の幅広い分野で事業投資を行います。
主な業務
- 投資案件の発掘
- 現地パートナーの選定
- 市場調査
- 事業計画の作成
- 投資採算分析
- 入札
- 契約交渉
- 資金調達
- 社内投資審査
- 投資先管理
- 事業再編
- 売却
評価されやすい経験
- 海外案件
- プロジェクトファイナンス
- M&A
- 投資審査
- 事業開発
- 契約交渉
- パートナー管理
- 英語での実務
- 大型案件のプロジェクト管理
注意点
案件発掘や投資分析だけでなく、投資後の事業経営や子会社管理を担当する可能性があります。
2.電力・ガス・インフラ事業会社
電力、ガス、交通、通信などの事業会社も、新規事業や海外事業への投資を行います。
主な職種
- 事業開発
- 投資審査
- M&A
- 海外事業
- 経営企画
- 資金調達
- プロジェクトファイナンス
- 事業管理
- 子会社管理
メリット
- 投資後の事業運営まで経験できる
- 業界専門性を深められる
- 大型案件に関われる可能性がある
- 長期的なキャリアを構築しやすい
注意点
組織によっては、案件発掘、審査、実行、管理が別部署に分かれています。
自分がどの工程を担当できるかを確認してください。
PFに近い求人を比較する場合は、インフラ投資・PF求人の担当工程と判断権限を確認する方法で、案件獲得・審査・実行・モニタリングの担当範囲と、本人が決められる事項を分けて確認できます。
再生可能エネルギー分野への転職は、再生可能エネルギー業界への転職方法|金融・事業開発経験を活かすで詳しく解説しています。
3.インフラファンド
インフラファンドは、投資家から集めた資金をインフラ資産へ投資します。
主な業務
- 投資案件の発掘
- 財務モデルの構築
- 投資採算分析
- デューデリジェンス
- 投資委員会資料
- 契約交渉
- 資金調達
- 投資実行
- アセットマネジメント
- 投資家への報告
- 売却
評価されやすい経験
- インフラ投資
- プロジェクトファイナンス
- M&A
- 財務モデル
- ファンド業務
- アセットマネジメント
- 投資家対応
- 英語
注意点
少人数の組織では、一人が案件発掘から投資後管理まで幅広く担当します。
専門性だけでなく、自ら手を動かして案件を進める力が必要です。
4.プライベートエクイティファンド
プライベートエクイティファンドは、企業へ投資し、経営改善や成長支援を行った後に売却します。
主な業務
- 投資候補企業の発掘
- 企業価値評価
- 財務モデル
- デューデリジェンス
- 買収資金の調達
- 投資委員会
- 投資先支援
- 経営改善
- 売却
評価されやすい経験
- M&A
- FAS
- 投資銀行
- 戦略コンサルティング
- 事業会社の経営企画
- 経営管理
- 財務分析
- LBOファイナンス
注意点
インフラファンドより、企業全体の経営改善と売却戦略が重視される傾向があります。
5.金融機関の投資部門
銀行、信託銀行、政府系金融機関などにも、事業投資やファンド投資を担当する部門があります。
主な業務
- 出資案件の検討
- ファンド投資
- 事業会社との共同投資
- ストラクチャードファイナンス
- 投資審査
- モニタリング
- 地域企業の事業承継支援
- 再生支援
融資業務から段階的に投資業務へ移りたい人にとって、社内異動や同業他社への転職も選択肢です。
6.デベロッパー・再生可能エネルギー事業会社
インフラ案件を開発し、投資家や金融機関から資金を調達する企業です。
主な業務
- 案件発掘
- 土地・許認可
- パートナー選定
- 事業計画
- 資金調達
- 投資家対応
- 建設管理
- 運営管理
- 案件売却
投資分析だけでなく、事業をゼロから作る経験を積めます。
7.コンサルティング・FAS
投資家や事業会社に対し、投資判断や案件実行を支援します。
主な業務
- 市場調査
- 事業戦略
- 財務デューデリジェンス
- 事業デューデリジェンス
- 財務モデル
- 企業価値評価
- M&Aアドバイザリー
- 資金調達支援
- 投資後支援
直接投資を行う立場ではありませんが、複数の案件に関わりながら専門性を高められます。
8.事業会社の経営企画・投資企画部門
一般の事業会社にも、M&A、新規事業、子会社管理、海外投資を担当する部門があります。
主な業務
- 成長戦略
- 投資案件の検討
- M&A
- 新規事業
- 海外進出
- 子会社管理
- 経営会議資料
- 投資後の業績管理
特定業界の実務経験を持つ人は、金融専門性と業界知識を組み合わせられます。
金融機関で培った財務分析や審査経験を経営企画へ活かす方法は、経営企画への転職方法|金融機関出身者が評価される経験で詳しく解説しています。
投資業務の仕事の流れ
1.投資戦略を決める
企業やファンドは、次のような投資方針を定めます。
- 投資対象業界
- 国・地域
- 案件規模
- 投資期間
- 目標収益率
- リスク許容度
- 出資比率
- 投資後の関与方針
2.案件を発掘する
案件発掘はオリジネーションとも呼ばれます。
主な経路
- 金融機関
- 証券会社
- M&A仲介会社
- コンサルティング会社
- 事業会社
- 共同投資家
- 業界関係者
- 既存取引先
- 海外パートナー
案件を待つだけでなく、自ら企業やパートナーへ働きかける力が必要です。
3.初期評価を行う
案件の概要を確認し、詳細検討へ進むかを判断します。
主な確認事項
- 投資対象
- 事業モデル
- 市場
- 収益性
- 成長性
- 主要リスク
- 必要投資額
- 出資比率
- 資金調達
- 投資回収方法
4.財務モデルを作る
財務モデルでは、将来の売上、費用、利益、キャッシュフローを予測します。
主な分析
- 売上予測
- 費用予測
- 設備投資
- 運転資金
- 借入金
- 配当
- 投資収益率
- 感応度分析
- 下振れシナリオ
財務モデルを自分で構築できるか、既存モデルを検証できるか、前提条件を理解できるかは区別して説明してください。
5.デューデリジェンスを行う
デューデリジェンスでは、投資対象のリスクと価値を詳細に調査します。
主な分野
- 財務
- 税務
- 法務
- 事業
- 技術
- 環境
- 人事
- IT
- 保険
- コンプライアンス
投資担当者は、各専門家の調査結果をまとめ、投資判断へ反映します。
6.投資条件を交渉する
主な交渉事項
- 投資額
- 株式価値
- 出資比率
- 配当
- 経営権
- 取締役派遣
- 拒否権
- 追加出資
- 株式売却
- 表明保証
- 補償
- 前提条件
7.社内承認を得る
投資委員会や経営会議に対し、投資理由とリスクを説明します。
主な資料
- 投資概要
- 市場分析
- 事業計画
- 財務モデル
- 投資採算
- 主要リスク
- 対応策
- 契約条件
- 投資後の管理方針
- 売却戦略
8.投資を実行する
契約締結、資金調達、出資金の払い込みなどを進めます。
多数の関係者が関わるため、進捗管理と条件管理が重要です。
9.投資後の事業を管理する
投資後は、次の内容を継続的に確認します。
- 売上
- 利益
- キャッシュフロー
- 予算との差異
- 事業計画
- 主要契約
- 人員
- 設備
- 資金調達
- リスク
- 経営課題
10.投資回収を行う
主な方法
- 配当
- 株式売却
- 第三者への事業売却
- 株式上場
- 他の株主による買い取り
- 資産の売却
- 借換えによる資金回収
投資前から、どのように投資回収するかを考える必要があります。
インフラ投資・事業投資で求められる経験
財務分析
投資対象の収益性、財務状態、キャッシュフローを分析します。
評価される業務
- 財務諸表分析
- 事業計画の検証
- キャッシュフロー分析
- 損益分岐点分析
- 感応度分析
- 予算実績管理
- 企業価値評価
財務モデル
財務モデルは重要ですが、計算技術だけでは不十分です。
重要なのは、次の内容を説明できることです。
- どの前提条件が収益を左右するか
- 下振れ時に何が起きるか
- 追加資金が必要になる条件は何か
- 借入金を返済できるか
- 投資家へどの程度配当できるか
- 売却価値がどのように変化するか
投資審査・融資審査
審査経験者は、リスク分析と社内承認資料の作成経験を活かせます。
活かせる経験
- 審査論点の整理
- 下振れリスクの分析
- 対応策の検討
- 稟議書の作成
- 審査部門への説明
- 条件交渉
- モニタリング
ただし、投資ではリスクを避けるだけでなく、リスクに見合う収益が得られるかを判断します。金融機関出身者は、与信判断を投資委員会の意思決定支援へ言い換える方法も確認し、損失回避だけでなく投資後の価値向上をどう見るかを準備してください。
審査経験の伝え方は、審査・与信経験を転職市場で武器にする方法|評価されるスキルを解説も参考にしてください。
プロジェクトファイナンス
インフラ投資では、プロジェクトファイナンス経験が評価される可能性があります。
評価される理由
- 長期キャッシュフローを分析している
- 契約構造を理解している
- 建設・運営リスクを分析している
- 多数の関係者を調整している
- 大型案件の進捗を管理している
- 金融機関との交渉を経験している
M&A
事業投資では、M&Aの実行経験が直接的に評価されます。
主な経験
- 案件発掘
- 企業価値評価
- デューデリジェンス
- 契約交渉
- 資金調達
- 社内承認
- 買収後統合
- 売却
事業開発
投資先の事業を理解し、成長させるためには、事業開発経験も重要です。
評価される経験
- 新規事業
- 市場調査
- 営業
- パートナー開拓
- アライアンス
- 契約交渉
- 事業計画
- プロジェクト管理
- 海外展開
契約交渉
投資業務では、契約によって権利、義務、リスク負担を定めます。
主な契約
- 株式譲渡契約
- 株主間契約
- 出資契約
- 融資契約
- 売電契約
- 建設契約
- 運営保守契約
- 業務委託契約
- 共同事業契約
英語・海外業務
海外インフラ投資では、英語力だけでなく、異なる商習慣や意思決定プロセスへの対応力が必要です。
評価される経験
- 海外駐在
- 海外企業との交渉
- 英文契約
- 海外金融機関との協議
- 現地パートナー管理
- 本社と現地の調整
- 海外案件の社内承認
関係者調整
投資案件には、多くの関係者が関わります。
- 投資先
- 売主
- 共同投資家
- 金融機関
- 弁護士
- 会計士
- 税理士
- 技術専門家
- 保険会社
- 行政機関
- 社内部門
論点を整理し、担当者と期限を決め、意思決定を進める能力が重要です。
金融機関出身者が評価される強み
数字と事業を結び付けられる
財務数値だけでなく、売上、費用、設備投資、運転資金などの事業活動と結び付けて説明できる人は評価されます。
リスクを構造的に整理できる
リスクを列挙するだけでなく、次の形で整理します。
- リスクの内容
- 発生可能性
- 影響
- 負担者
- 対応策
- 残るリスク
- 投資判断への影響
社内意思決定を進められる
投資案件では、担当者がよい案件だと考えるだけでは実行できません。
経営層、審査、財務、法務などへ説明し、承認を得る必要があります。
資金調達を理解している
投資収益は、出資金だけでなく、借入金の条件によっても変わります。
融資条件、返済計画、担保、財務制限条項などを理解していることは強みになります。
経営者と対話できる
法人営業や融資業務を通じて、経営者から事業課題を聞き、提案した経験は、案件発掘や投資先管理に活かせます。
金融機関出身者が補うべき弱点
リスクを避ける視点が強すぎる
投資業務では、リスクがあること自体を理由に案件を否定するのではなく、収益とのバランスを判断します。
株主リターンの視点が弱い
融資の返済可能性だけでなく、次の指標を理解する必要があります。
- 投資収益率
- 配当
- 企業価値
- 売却価値
- 投資回収期間
- 資本コスト
事業を成長させる経験が不足している
投資後は、投資先の経営改善や事業成長へ関与する場合があります。
営業、事業開発、コスト改善、組織づくりなどへの理解を補ってください。
投資契約の経験が不足している
融資契約と株主間契約では、確認すべき内容が異なります。
出資比率、経営権、拒否権、売却、追加出資などの基本を学ぶ必要があります。
自ら案件を発掘する経験が不足している
金融機関では、既存顧客や持ち込まれた案件を扱うことがあります。
投資会社では、自らネットワークを作り、投資案件を発掘する力が重視されます。
経歴別の転職可能性
銀行の法人営業経験者
活かせる経験
- 財務分析
- 経営者との対話
- 資金調達提案
- 社内審査
- 案件管理
- 取引先ネットワーク
候補職種
- 事業会社の投資企画
- インフラ事業会社の資金調達
- M&A・事業承継
- 投資先の財務管理
- 金融機関の投資部門
プロジェクトファイナンス経験者
活かせる経験
- インフラ案件
- キャッシュフロー分析
- 財務モデル
- 契約構造
- 大型案件
- シンジケートローン
- 海外案件
候補職種
- インフラファンド
- 総合商社
- 電力・ガス会社
- 再生可能エネルギー事業会社
- 海外インフラ投資
- 投資審査
- 資金調達
融資審査経験者
活かせる経験
- 財務分析
- リスク評価
- 稟議書
- 条件設定
- モニタリング
- 社内説明
候補職種
- 投資審査
- 経営企画
- 事業管理
- ファンドのアセットマネジメント
- 金融機関の投資部門
FAS・M&A経験者
活かせる経験
- デューデリジェンス
- 企業価値評価
- 財務モデル
- 契約交渉
- 案件実行
候補職種
- プライベートエクイティ
- インフラファンド
- 商社の事業投資
- 事業会社のM&A
- 投資企画
コンサルティング経験者
活かせる経験
- 市場調査
- 事業戦略
- 仮説構築
- 経営層への提案
- プロジェクト管理
候補職種
- 投資先支援
- 事業投資
- 経営企画
- 事業開発
- ファンドのバリューアップ
事業会社の経営企画経験者
活かせる経験
- 事業計画
- 予算管理
- 経営会議
- 子会社管理
- M&A
- 新規事業
候補職種
- 事業投資
- 投資後管理
- ポートフォリオ管理
- 子会社経営
- インフラ事業会社の投資企画
インフラ投資・事業投資への転職準備
1.投資対象を決める
投資対象によって求められる知識が異なります。
- エネルギー
- 交通
- 通信
- データセンター
- 不動産
- 物流
- 環境
- 一般事業会社
- 海外インフラ
自分の経験と関心が重なる分野を選んでください。
2.担当したい工程を決める
投資業務は、次の工程に分かれます。
- 案件発掘
- 投資分析
- デューデリジェンス
- 契約交渉
- 投資実行
- 投資後管理
- 売却
求人票の「投資担当」という言葉だけでは、具体的な業務が分かりません。
どの工程を担当できるか確認してください。
3.自分の経験を投資業務へ変換する
- 法人営業:案件発掘・経営者との交渉
- 財務分析:投資対象の収益性分析
- 融資審査:投資審査・リスク評価
- 稟議書:投資委員会資料
- プロジェクトファイナンス:インフラ投資・資金調達
- 与信管理:投資後モニタリング
- 海外業務:海外投資・現地パートナー管理
- 本部企画:投資戦略・ポートフォリオ管理
4.案件実績を整理する
次の項目を案件ごとに整理します。
- 対象業界
- 案件規模
- 国・地域
- 投資・融資額
- 自分の役割
- 分析内容
- 主なリスク
- 交渉相手
- 社内関係者
- 成果
- 苦労した点
- 再現できる能力
5.不足する知識を補う
優先して学ぶ内容
- 会計
- コーポレートファイナンス
- 企業価値評価
- 財務モデル
- M&A
- デューデリジェンス
- 投資契約
- 株主間契約
- 投資後管理
- 対象業界の事業構造
6.投資家視点の職務経歴書を作る
融資の安全性を確認した経験だけでなく、次の内容を書きます。
- 事業の成長性をどのように評価したか
- 投資・融資判断へどのように貢献したか
- 関係者をどのように調整したか
- 条件交渉をどのように進めたか
- 案件実行後にどのように管理したか
7.複数の転職経路を使う
投資関連の求人は、担当業界や案件内容を公表せずに募集される場合があります。
- ハイクラス転職サービス
- 金融専門エージェント
- M&A・投資業務に強いエージェント
- スカウト型サービス
- 企業への直接応募
- 業界関係者からの紹介
複数の経路から情報を集めてください。
職務経歴書の記載例
プロジェクトファイナンス経験者
金融機関において、国内外のインフラ・エネルギー案件に対するプロジェクトファイナンス業務を担当。事業計画、財務モデル、契約構造、建設・操業リスクを分析し、融資条件の検討、社内審査、契約交渉、融資実行後のモニタリングに従事した。スポンサー、他金融機関、弁護士、技術アドバイザーなどの関係者を調整し、案件の意思決定と実行を推進した。
法人融資経験者
法人顧客の財務分析、事業計画の検証、資金調達提案、社内審査対応を担当。経営者との面談を通じて事業課題と資金需要を把握し、将来キャッシュフローに基づく調達条件を提案した。財務数値だけでなく、事業モデル、競争環境、経営課題を踏まえた提案を強みとする。
事業会社の経営企画経験者
事業計画、予算管理、投資案件の検討、子会社管理、経営会議資料の作成を担当。複数部門から情報を収集し、投資採算、事業リスク、実行体制を整理した上で、経営層の意思決定を支援した。投資実行後は予算実績、重要課題、改善施策を継続的に管理した。
自己PRの例文
私の強みは、財務、事業、契約の論点を整理し、多数の関係者を調整しながら案件を実行へ進める力です。
金融機関では、法人融資およびプロジェクトファイナンス業務を通じて、事業計画、キャッシュフロー、契約構造、主要リスクを分析してきました。
案件に課題がある場合も、単に否定するのではなく、条件変更、追加調査、契約上の対応などを検討し、実行可能な方法を関係者と協議してきました。
今後は、融資者としてのリスク分析に加え、投資家として事業成長と投資収益の実現に関わりたいと考えています。
これまでの財務分析、資金調達、社内意思決定、関係者調整の経験を、インフラ投資や事業投資の案件発掘、投資審査、実行、投資後管理へ活かします。
面接で聞かれやすい質問
なぜ融資ではなく投資を担当したいのですか
回答例
金融機関で融資案件を担当する中で、返済可能性や下振れリスクを分析するだけでなく、事業の成長や案件の実現そのものへ関わりたいと考えるようになりました。今後は、金融機関で培った財務分析、契約理解、資金調達、関係者調整の経験を活かし、投資家として事業の成長と投資収益の実現に責任を持ちたいと考えています。
投資業務で活かせる経験は何ですか
回答例
事業計画とキャッシュフローの分析、主要リスクの整理、社内審査資料の作成、契約条件の交渉、案件実行後のモニタリング経験を活かせると考えています。また、スポンサー、金融機関、専門家、社内部門など、多数の関係者の論点を整理し、意思決定を進めてきた経験があります。
融資と投資の違いをどう理解していますか
回答例
融資では、元本と利息の回収可能性を中心に、下振れリスクや契約上の保護を確認します。投資では、事業リスクを負いながら、配当や企業価値の向上、売却によって投資収益を得る必要があります。そのため、投資ではリスクを避けるだけでなく、リスクに見合う収益があるか、投資後にどのように事業価値を高めるかを考える必要があると理解しています。
投資業務が未経験でも大丈夫ですか
回答例
出資の実行経験はありませんが、融資業務を通じて、財務分析、事業性評価、契約交渉、社内承認、モニタリングを経験しています。現在は、企業価値評価、投資収益率、株主間契約、投資後管理など、投資業務で必要となる知識を補っています。共通する経験を活かしながら、投資家としての視点を早期に身に付けたいと考えています。
投資案件で最も重要なことは何ですか
回答例
収益性の高さだけでなく、どの前提条件によって収益が成立し、どのリスクが事業価値を損なうかを理解することだと考えています。その上で、契約、資金調達、経営管理などによってリスクを管理し、投資後も計画と実績の差異を確認しながら改善を進めることが重要だと考えています。
インフラ投資・事業投資への転職で失敗する原因
財務分析だけを強調する
投資業務では、分析した後に、交渉、社内承認、実行、投資後管理まで進める必要があります。
案件規模だけを実績にする
大型案件に参加したことより、自分が何を担当し、どの意思決定へ貢献したかが重要です。
融資と投資の違いを説明できない
返済可能性と投資収益の違いを理解していないと、転職理由に説得力が出ません。
財務モデルの能力を誇張する
モデルを見た経験、分析した経験、修正した経験、ゼロから作った経験は区別してください。
投資後の業務を理解していない
投資を実行して終わりではありません。
業績管理、経営支援、追加投資、事業再編、売却などの業務があります。
業界知識を軽視する
同じ財務モデルでも、エネルギー、通信、交通、一般事業会社では事業リスクが異なります。
投資会社という名称だけで選ぶ
案件発掘中心、審査中心、投資後管理中心など、企業によって業務が異なります。
転職先を比較する8つの基準
- 投資対象の業界
- 国内案件と海外案件の比率
- 案件発掘から投資後管理までの担当範囲
- 一件当たりの投資規模
- 少数株主か経営権を持つ投資か
- 投資期間と投資回収方法
- チーム構成と意思決定プロセス
- 3年後に得られる専門性
年収や企業名だけでなく、実際に担当できる業務を確認してください。
インフラ投資・事業投資のキャリアパス
投資担当者として専門性を高める
案件発掘、分析、契約、実行を一貫して担当し、投資実務の専門家を目指します。
投資審査・リスク管理へ進む
複数案件を横断的に評価し、投資判断の質を高める役割です。
アセットマネジメントへ進む
投資後の事業を管理し、収益改善やリスク対応を担当します。
経営企画・事業戦略へ進む
個別案件だけでなく、会社全体の投資方針や事業ポートフォリオを管理します。
投資先の経営へ進む
投資先企業の取締役、財務責任者、事業責任者などとして経営へ関わる道があります。
独立系ファンドへ移る
事業会社や金融機関で投資経験を積んだ後、インフラファンドやプライベートエクイティへ移る選択肢があります。
海外投資の専門家になる
海外案件、英語、現地パートナー管理などの経験を積み、グローバル投資を専門にします。
年代別の転職戦略
20代
財務分析、会計、M&A、プロジェクトファイナンスなどの基礎能力を身に付けます。
未経験分野へ移りやすい一方、実務で手を動かせることが求められます。
30代
案件実行経験と専門性が重視されます。
担当案件、自分の役割、社内外の調整、成果を具体的に説明してください。
40代
専門性に加え、投資判断、組織管理、経営層への説明、部下育成などが求められます。専門性を起点に初めて組織を率いる場合は、専門職から管理職へ移る際の能力転換と選考での伝え方を確認し、部下育成や優先順位付けの経験を補足するとよいでしょう。
プレーヤーとして何ができるかだけでなく、投資組織や投資先をどのように管理できるかを示してください。
インフラ投資・事業投資に関するよくある質問
銀行員からインフラ投資へ転職できますか
法人融資、プロジェクトファイナンス、審査、海外業務などの経験を活かせる可能性があります。
投資収益、株主権、投資後管理などの知識を補ってください。
プロジェクトファイナンス経験は必須ですか
すべての求人で必須ではありません。
インフラファンドやエネルギー投資では評価されやすい一方、事業投資ではM&A、経営企画、事業開発などの経験も重要です。法人営業を起点にこの領域へ移るなら、M&A・事業投資で求められる案件経験と不足能力を確認し、案件発掘、DD、契約、PMIのどこまで経験しているかを分けてください。
財務モデルを作れないと転職できませんか
求人によって異なります。
投資担当者にはモデル構築能力を求める企業がありますが、事業開発、投資審査、アセットマネジメントでは、既存モデルを理解・検証する能力が重視される場合もあります。
英語力は必要ですか
国内案件では必須でない場合もあります。
海外投資、外資系ファンド、海外パートナーとの共同投資では必要になる可能性があります。
投資業務の年収は高いですか
企業、ファンド、職種、役職、経験によって異なります。
基本給、賞与、長期インセンティブ、退職金、福利厚生などを含めて比較してください。
インフラファンドとプライベートエクイティの違いは何ですか
インフラファンドは、発電所や交通、通信などのインフラ資産へ投資します。
プライベートエクイティは、企業へ投資し、経営改善や成長支援を行った後に売却することが中心です。
投資後管理とは何をする仕事ですか
投資先の業績、キャッシュフロー、経営課題、契約、資金調達などを管理します。
必要に応じて、経営改善、追加投資、事業再編、売却を進めます。
金融機関から事業会社へ移ると年収は下がりますか
転職先、現在の職位、専門性によって異なります。
短期的な年収だけでなく、担当できる業務、投資経験、将来のキャリアパスを比較してください。
まとめ|金融経験を投資実行と事業経営へ広げる
インフラ投資・事業投資の主な転職先には、次があります。
- 総合商社
- 電力・ガス・インフラ事業会社
- インフラファンド
- プライベートエクイティファンド
- 金融機関の投資部門
- 再生可能エネルギー事業会社
- コンサルティング・FAS
- 事業会社の経営企画・投資企画部門
求められる主な経験は次のとおりです。
- 財務分析
- 財務モデル
- 投資審査
- 融資審査
- プロジェクトファイナンス
- M&A
- 事業開発
- 契約交渉
- 英語・海外業務
- 関係者調整
- 投資後管理
金融機関出身者は、財務分析、リスク評価、資金調達、社内承認、経営者との対話などの経験を活かせます。
一方、投資業務へ移るためには、次の視点を追加する必要があります。
- 投資収益
- 株主としての意思決定
- 事業成長
- 投資後の経営管理
- 投資回収
- 売却価値
転職準備では、次の内容を整理してください。
- 投資対象と担当したい工程を決める
- 自分の経験を投資業務へ変換する
- 担当案件と自分の役割を整理する
- 会計・投資・契約の知識を補う
- 投資家視点の職務経歴書を作る
- 投資実行後まで見据えた転職理由を作る
- 複数の経路から求人情報を集める
インフラ投資・事業投資で評価されるのは、数字を分析できる人だけではありません。
案件を発掘し、事業性を評価し、契約と資金調達を整え、社内承認を得て、投資後も事業価値を高められる人材です。
金融機関で培った分析力とリスク管理力を土台に、投資実行、事業成長、経営管理まで担当できる人材へ経験を広げてください。
